市町村合併や権限移譲など、地方分権改革がめざした「自立した基礎自治体」の実現は、権限に見合う財源の不足という厳しい状況の中で20数年が経過しました。その間も高齢化と少子化は加速し、扶助費は増加しています。
また近年は東日本大震災や豪雨災害など自然災害が多発しており、災害から住民を守る防災・減災の対応も行政に強く求められています。
道路や水路などの社会資本は、都市空間として安全上重要で、長期にわたって将来世代にも貢献します。これに対し、現役世代で消費する扶助費には一定の歯止めが必要です。特に最近拡大している「無償化」の傾向には、モラルハザードのリスクがあります。恩恵を受ける期間は実は短く、終われば一生負担する側になるのです。社会的弱者は皆で協力して支えるとしても、その他の部分は「受益者負担」の原則を基本とするべきです。誰もが、少しずつ痛み分けをして支え合う社会こそ、めざすべき将来世代にツケを残さない持続可能な社会だと考えます。
私たちの住む浜松地方には、自然に恵まれた土地や人々とのつながり、ものづくりの技術や伝統、地域文化などの多様性が残されています。その潜在力を生かし地域経済が循環し、地域所得が増加する仕組みづくりにも注力する必要があります。
今後もあるべき姿をめざして、課題の解決と地域の発展のため、全力を傾けてまいります。
予算要望の様子
9月2日の豪雨による市内の浸水被害は、床上46(27)棟、床下123(88)棟、合計169 (115)棟だった。また9月23日の台風15号では床上472(144)棟、床下1470(341)、合計で1942(485)棟発生した。( )内は浜北区の件数(内数)。
資本主義経済下における企業は利潤の最大化を求める。典型的な例が「ジャストイン生産方式」や「在庫ゼロ」だ。現代社会は無理や無駄を排除するため「選択と集中」を事業の指針として採用してきた。しかし、今回の新型コロナ感染症や、多発する自然災害は、こうした経済合理性を優先した考え方と、相性が悪いということを、我々に教えた。
リスクに対応するということは、「無駄になるかも知れないが、壊滅的な打撃を避けるための備えはしておく」ということである。
大切なことは、合理性と備えとのバランスだ。例えば河川でいえば、調整池のようなもので、突発的な豪雨には一時的に貯水し、危機が去ったのちに、時間をかけて排水するが如く。また、火災における空地が如く。金沢市では寛永年間の大火の反省から、「広見」と呼ばれる小さな空閑地が残っている。その数、市内で21か所。
そして身近な問題として、我々市民も協力して出来ることは、最低でも有効幅員4mで側溝の付いた道路を整備することである。火災や水害に備 えて...。
災害に備えるためには、無駄になる部分は出来るだけ少なくして、しかしリスクには対応できる賢い方法を考えていく必要がある。
議長として本会議を進行